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診療報酬改定「短冊」から読み取る
メディサイト 松村 眞吾

 注目の2024年診療報酬改定だが、1月28日に、いわゆる「短冊」が出た。報酬点数抜きの項目一覧だが、今回は常に増して量が多く、また改定を受けての医療機関の行動が読みにくいところもあり、議論があれこれ多様に行われている。えいや!と
ポイントを言えば、後期高齢者急増を控えての高齢者医療対策と急減していく生産年齢人口対策としても重要となる「働き方改革」であろう。いつになく財政の視点も目につき、+0.88%改定とはならないと考えるべきであろう。 

 高齢者医療については誤嚥性肺炎、尿路感染症などをしっかりと受け入れられる救急機能を整備しようということか「地域包括医療病棟」という病棟類型が設けられたわけだが、これについての解釈が分かれる。設定される報酬点数にもよるが、救急機能の充実は間違いなく求められし、ポストアキュートについても同様のようである。
前回改定で200床以上400床未満の中堅病院は「紹介重点医療機関」もしくは「地域医療支援病院」を選択することを求められた形であったが、「地域包括医療病棟」は中堅病院の立ち位置をより具体的に示した可能性がある。地域包括ケア病棟地(地ケア病棟)を主に担う200床未満の中小病院では受け切れない高齢者(複数疾患を抱えるマルチモビディティも多く)医療を担うこと、そして7対1急性期入院料1から転換してくれというメッセージが透けて見える。役割分担が厚労省の意図通りに進むかどうかは難しいところだが、これに「働き方改革」が絡むと別の景色も見えて来る。

 今年4月から始まる医師の時間外労働規制は、宿日直許可は得られるかどうかが焦点となるが、その宿日直許可や地域医療体制確保加算要件などの動きも見ていくと医師確保が難しくなる急性期病院が増えることは確実である。やはり「地域包括医療病棟」への誘導が図られるのではないだろうか。関連して、高齢者医療充実対策としても注目されるのが、救急体制についてである。救急医療は選定療養費による実質的な有料化、救急現場におけるタスクシフト/シェアも大きな課題となるが、今次改定では医療介護連携の評価に注目したい。協力医療機関が「かかりつけ医」機能を果たすことによって軽症救急を減らすことは可能である。その現場を厚労省は調べている。何が算定可能なのか、から求められている役割・機能は何か、から発想する医療経営が必要となろう。 救急に関しては、「下り搬送」評価も注目されている。これも実績ある現場に厚労省の人間は調べに行っている。高度急性期で前述した誤嚥性肺炎などの患者を断るというのは現場実態と合わせて考えれば然るべきことではなく、いったん受けて初期治療後に別の病院(それが「地域包括医療病棟」かもしれない)に搬送するのが適当だと考えるのである。地域の病院間の関係で、ますます連携強化による協調が求められる。単独で対応できなければ(人口減少地域では顕著に現れてきている)地域医療携推進法人の活用なども推進しなければならない。
 財務省サイドからマイナス改定を求められていた診療所(+200床中小病院も)関係はどうか。処遇改善は「40歳未満」云々の言葉があるが、現場では年齢で切るわけには行かない。診療所レベルの経営では負担が大きくなりそうである。加えて特定疾患療養管理料対象から糖尿病などが外れ打撃が大きいという試算も出て来ている。ただ、報酬点数が高く「患者離れ」を懸念して算定が進まなかった生活習慣病管理料の算定要件(月1回以上)が緩和された。地域連携パスを組むなどで新しい展開が可能となるかもしれない。ここでも制度依存でない経営が求められているように感じるがいかがだろうか。

 在宅医療に関しては言及が少ないが、施設系在宅などの評価「適正化」、医療介護連携の充実評価のトレンドは踏まえておきたい。次の改定の布石である部分を見逃してはならない。今回は病診連携の取組みを求められていると考えるべきであろう。地ケア病棟における在院日数短縮なども見ておくべきである。リハビリテーションについては、例えば運動器リハの評価が厳しくなった。アウトカムが徹底して求められている。これは重症度、医療看護必要度におけるB項目の扱い、救急医療管理加算算定要件の厳格化などもそうであるが、算定のためのテクニック磨きでは収益改善が望めなくなってきたと認識したい。リハビリに戻ると、高度急性期から老健など介護分野に至るまでリハビリの舞台は広げようという動きはある。報酬点数の表面的な増減ではなくリハビリの位置付けを考えることが重要であると考えたい。 デジタル化(DX)評価について。詳しいことは別に譲りたいが、避けて通れないと言うより積極的な取組みが必要となることだけは言っておきたい。オンライン診療も進化して、今回、へき地等における看護師が患者に付きそうD to P with N(doctor to patient with nurse)評価なども行なわれる。マイナ保険証は義務化されるが、診療情報の共有化は否応なく進められると見て欲しい。介護併営の医療機関の場合、介護報酬におけるDX評価に注目しておきたい。

 今回の改定で分からないことも多い。同時改定となる介護報酬では、画期的とされた科学的介護推進体制加算(FINEデータ活用)導入だが、今回改定では目につかない。リハビリの活用舞台を広げていくという趣旨からすると…という感じもするがどうなのだろう。医科歯科連携も謳われたが、どこまで具体化していくのだろうか。これももう少し議論を進めて行きたい。言えることは、後期高齢者急増=介護費用増加容認とはならないことだろう。その前に介護人材不足も深刻化もある。 間もなく報酬点数も明らかになる。さらに分析を進めたい。

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