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コラム
 
 診療報酬改定を巡って 
    メディサイト 松村眞吾


 今回の改定は何だったのだろうか。
前回改定の直後から「病院入院についての評価見直しは一段落した。次は開業医の評価を大きく改める」などといった当局者の発言が繰り返されていた。そして結果をどう見るべきなのだろうか。

 医師会が再診料の引下げを阻止したとメディアは伝える。開業医のブログなどでは例えば外来管理加算5分要件について「ストップウォッチをにらみながら診療するのか」などと「大改悪」との批判が溢れている。高齢者の生きる権利を侵害すると後期高齢者医療制度も評判がよろしくない。コンタクト処方料の引下げ、在宅医療における居住系施設への評価引下げなど、関係者は大騒ぎである。勤務医評価を上げるというのも何か中途半端な感じがする。

 在宅への移行、説明責任の重視、「かかりつけ医」導入意図、医療費削減などが、はっきりと見える。厚生労働省も隠そうとしていない。導入・定着のために運用面での修正を行いながら、大方針は変えずに推し進めてくるのではないだろうか。医療崩壊が言われているが、メディアの取り上げ方はピンと外れも多く、「開業医は儲けている」という世間の見方を巧みに利用しながら、開業医の報酬改定を今後も進めていくだろう。

 今回の改定は良く考えたものだと感心する。外来管理加算の「5分を目安」は、患者さんの側からすれば「正論」である。ギリギリのところにボールを投げ込んできたと感じる。4月に入ったのに、未だ見通しのはっきりしない「後期高齢者診療料」の600点は、月1回の診療であれば増収になる。開業医の「分断」を狙ったかのような設定である。

 「大改悪」かもしれない。ただ結論を出すには未だ早いと思う。今回の改定は、そんな単純なものではない。医師会の、開業医側の改定批判を、患者さん側が、どう受け取るかを見極めなければならない。患者さんと一緒となった議論をしていかないと道は拓けない。私のクライアントのある先生が言った言葉が頭に残る。「改悪であっても、要するに患者さんの納得のいく、安心してもらえる診療をしないと生き残っていけないということだ」。

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