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コラム
 
 医療は人次第 
  (株)メディヴァ  
取締役 小松 大介 氏

 当社は、メディサイトさんとも連携を取りつつ、クリニックの新規開業や経営支援、病院の経営再生や健保組合のコンサルティングなどを行っております。そうした中、今回は、最近強く感じている、“医療は人次第”というテーマを取り上げさせていただきます。

 クリニックの相談ごとの一つに、“患者が増えない”という課題があります。当然、広告や広報、競合の状況など色々と確認するべきことはあるのですが、一番気になるのは、スタッフ(特に患者さんと密接に関わる受付や待合の看護師)についてです。あるクリニックでは、お昼休み直前で患者さんがいなかったとはいえ、私が訪問して最初に目にしたのはカウンターでタバコを吸うスタッフです。また、別のクリニックでは、たまたまスタッフが忙しい時間の電話だったのでしょうが、非常に機嫌の悪い声で、「すいません。今は込んでいて受けられません。“がちゃん”」というやりとりが裏から聞こえて来ました。相手は業者だったのかもしれません。しかし、たとえ業者であっても、明日は患者さんかもしれませんし、当院の評判を話す口コミの一つには違いありません。患者さんが集まらない理由の一端を垣間見た気がしました。

 病院の経営再生で、良く出くわすのは、院内批判や体制批判などの内向きの話ばかりで、患者さんや医療についてのことがほとんど出てこない現場です。我々は、医療そのものはわかりませんが、それって医療機関としてどうなのだろうという意見を投げかけることはできます。しかし、それに対する回答が納得できるものでないこともままあります。内向きのシステムができあがってしまい、自分たちは効率よく動け、お昼休みを時間通り取れるけれども、その間患者さんは待たされているような仕組みになっていることも良くあります。こうした再生現場では、スタッフの意識転換や、どうしても考えを変えられないスタッフの退職によって、大きく雰囲気が変わることが多いです。

 また、先生方の対応が、ずれているように感じることもあります。“地域密着”、“患者第一”と理念を掲げていても、患者さんが話そうとしている家族のことを十分に聞かずに、所見と仮説だけで30秒診療をしている先生もお見かけします。また、患者さんがある治療を躊躇していると見て、「これをしないと、非常にまずいですよ。私は責任取れませんから」と強く出ている方をお見かけしたこともあります。おそらく先生方にも、診察を早く終えたい、いつも話しの長い患者さん、たまたま機嫌が悪かったなどの事情はあったのでしょう。ただ、患者さん側として見ていると、違和感を感じざるを得ませんでした。

 逆に評判の高い医療機関で共通しているのは、スタッフ一丸となって、真面目に医療に取組み、患者さんのニーズに応えようという姿勢です。その中でも、患者さんをしっかりと想像力をもって見ている(診ている)という姿勢が見えると、患者さんの満足度が高いように思います。例えば、“待合室で気分が悪くなっている方を見かけて声をかけている”、“患者さんの名前や病歴、ご家族のことを良く覚えている”、“暇があったら病棟をまわって様子を見ている”ということが、その姿勢の表れではないかと思っております。

 医療は、そこに関わる人次第で、良い方にも悪い方にも変わります。一人一人の意識が高い組織は、自然と活気も出て、患者さんもスタッフも集まってくるように感じています。これからも、よりよい組織が作れる、そんなご支援を続けられたらと思っております。

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