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コラム
 
 診療報酬改定に思うこと 
 メディサイト 松村 眞吾

 政権交代後、初の改定ということで注目を集めた今次改定が、4月から実施される。
日本医師会(日医)の委員推薦枠がなくなるなど、波乱含みで始まった中央社会保険医療協議会(中医協)の審議であったが、結果としてはプラス0.19%の微増改定という結果となった。
医療関係からは、プラス改定を評価しつつ、期待が大きかっただけに、やや落胆した向きもあるようである。基本的には救急・産科・小児医療・外科4分野と病院勤務医負担軽減に重点配分されるという方針が貫かれたと考えられる。

 日医などは、病院・診療所の再診料統一の過程で、診療所の再診料2点引下げとなったことを強く批判している。財源難の環境下、財務省の影が見え隠れしたこともあるようだ。
病院関係者などは、一定の評価をしているが、やや複雑な気持ちをもっている様子である。再診料の問題をどう考えるべきか。診療所平均でいえば、明細書発行加算1点を算定できるところも多いこともあり、概ねはコンマ未満の減収に止まる。私見だが、再診料に目を奪われていて良いのだろうか、と考えたい。

 今次改定には、大きな方向性が明確に打ち出されたと受け止めている。結論からいえば、後期高齢者医療制度の見直しも始まったばかりであり、2年後の2012年に予定されている介護報酬との同時改定こそが重要である、と考えるべきであろう。今回は、その方向性をきっちりと見極めておくべきと思う。幾つかのテーマは明記されている。それらを私なりに整理してみた。在宅医療の後方病床としての有床診療所評価などから読み取ってみた。

 まず、チーム医療と連携評価の流れである。院内外を問わず、チーム医療を評価する方向性が、いよいよはっきりしたと思う。医療機関間の役割分担と連携重視もその一環である。在宅移行推進の動きと絡んでくる。マンションなどへの訪問診療料下げはあったが、目先の点数に惑わされるのは、いかがと思う。第二に介護との一体化の動きである。リハビリなどはそれを意識した内容となっている。後期高齢者医療制度の見直しは、高齢者医療と介護の一体化を強く示唆する。第三に質の評価と透明性評価のことである。明細書加算は、その象徴であるが、それだけではない。情報公開は質の評価へと続く。DPCにおける新機能評価係数の導入は、質の評価を報酬に反映させる始まりと理解したい。

 膨大な改定内容を、限られた紙面で評価することはできない。しかし、繰り返しになるが、目先の点数に注意を奪われてはならない。方向性を見極めながら経営のかじ取りをしたい。有床診が評価されるこの時を確信して、事業に取り組んだ開業医もいる。その先生は、事業を始めた当時は関係者に猛反対されたが、今次改定に当って報われた。経営とは短期と中長期の視点を併せもって行なわなければならない。

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