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コラム
 
 開業は「ポジティブマインド」が成功する
   (株)メディヴァ(東京都)
大石 佳能子 氏

 医師にとっての「開業」は、一般社会でいう「起業」と同じである。自分の理想の医療を求めて、大組織である医局・病院を離れ、クリニックというベンチャーを興す。10年程前までは、開業して成功しない医師は殆ど居なかったが今は診療報酬のマイナス改訂や競争の激化などで、ベンチャー会社ほどではないが、リスクを伴う。一方、成功すれば、「自分の夢を実現した」という満足感は得られるし、一時ほどではないが経済的なメリットも大きい。

 しかし、全ての医師が開業に向くわけではない。開業しようと思うときに、冷静に「自分は、本当に向いているのか」ということを自問することも必要である。当社がソネットM3(インターネットによる情報提供会社)と共同で行なった「開業医の成功要因調査」を見ると、「開業動機」としてポジティブな理由(「自分のやりたい医療の実現」、「良い場所があった」等)を上げた医師は、ネガティブな理由(「病院勤務に限界を感じた」、「医局の人事がいやになった」等)を上げた医師に比べると圧倒的に成功確率が高いことが分かった。やはり、ポジティブな理由をもってキャリア設計をすることが重要なようである。

 一方で、ポジティブな夢を持っていても、実効性、経済性が伴っていなければ長続きはしない。一旦開業して走り出したら、やり直しの効き難いものもあるため、開業前に集患方策、敷地面積、機材、人員体制等を、詳細にシュミレーションすることが求められる。例えば、患者数に関しては、受療率と競合の数だけでなく、近隣の住民等と直接話をしてみて、どういう医療サービスが求められているのか、クリアなイメージを持つことが大事である。患者単価にしても、マクロ的な平均値を使用するのではなく、実際想定される患者さんのカルテを複数書いてみて、それをレセプトに落とし込むことによって、その診療所の平均単価が推定される。また、開業前に患者さんの数を算定して、それに合わせて医師、スタッフのオペレーションをシミュレーションすることにより、「本当にそれだけ診ることができるのか」、「それだけしか診なくて、経営として成り立つのか」を検討することができる。

 夢は大きくポジティブに、しかし計画の立案実行は細心の注意を払って、この微妙なバランスが成功する開業医を生むのではないだろうか。開業したら、一般的には十年以上は続けるものなので、諸先生方には、毎日クリニックに行くのが楽しく、また心配事のない開業を実現してほしいものである。         
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