家庭医のクリニックづくりと、そのネットワークを支援しています

ホーム 会社概要 事業概要 お知らせ コラム リンク
コラム
 
医療連携コーディネーターとして
一般社団法人日本地域統合人材育成機構院
代表理事 重田 由美 氏
(北野病院 医療連携コーディネーター元マネージャー)
 医療連携に携わって10年。病院の視点から患者の生活を支えるための「病院のあるべき姿」を考え、体制を構築してきた。病院の機能分化推進では、患者の状態に合わせ、適切な時期に適切な医療を受けるための体制作りと患者が医療連携に納得する説明と同意、そして継続サポートを行っている。また、ネットワーク構築では、患者が医療連携を通じて不幸にならないための繋がりを作ってきた。特に医療から介護が重要となる生活を余儀なくされる難病患者の療養環境調整は、地域の訪問医師をはじめ、訪問看護師、ケアマネージャー、保険師の方々など、たくさんの医療介護福祉の方々と繋がって、患者を支える体制が必要だ。そのために、多職種が参加するネットワークを作ってきた。

 そう、医療連携を語るときには、主語はいつでも「患者」である。「患者の療養生活が困らないようにすること」とシンプルに考えて行動すれば、医療に関する法律や制度により病院の役割が変化しても、結果それは、患者はもちろん、医療者のモチベーション的にも病院経営的にもこれからの日本の医療体制的にも良い方向に向かうと信じて活動している。

 もう一つ重要と考えていることは、「患者の予防意識」である。私はいくら色々な医療体制を制度化しても、患者自身が病状悪化を防ぐようにする意識や、病気自体にならないようにする意識がなければ、医療費の抑制には繋がらないと考えている。病気になった後の生活をどのように過ごすのかを、患者の生活に合わせ一緒に考え、患者の意識が継続できるようにサポートする体制が必要である。それを連携で行うのであれば、支える医療者の方向性を合わせないといけない。  

 実は、医療連携というものは、何もなくでも出来るものなのである。診療情報提供書により患者の情報がわかれば、主治医の治療方針は関係なく、継続診療が可能であり、病院で指導した内容が継続されないということもしばしば起こっている。これでは本当の意味で医療連携が出来ていると言えないと思っている。お互いに連携する目的を確認しないまま、「連携しなければいけない」という手段が目的となっており、患者の不満や不安になっているのである。だからこそ、連携診療の方向性を合わせなければならない。その方法は、地域連携クリニカルパスや退院時カンファレンスなどがあるが、大切なことは、いつでも患者のことで相談できる関係性の構築である。様々な職種が関わる連携では、それぞれの職種を理解し、良好なパートナーシップを築くことが重要である。

ページの上へ