家庭医のクリニックづくりと、そのネットワークを支援しています

ホーム 会社概要 事業概要 お知らせ コラム リンク
コラム
 
在宅ケアへの移行を支援する
在宅ケア移行支援研究所
宇都宮宏子オフイス代表  宇都宮宏子
  1992年から、病院、そして京都では、訪問看護ステーション管理者として訪問看護、在宅ケアに取り組んできた。
地域で、望む暮らしの場で生活する療養者と家族をチームで支える。開業医の医師、行政担当者、そしてケアチームと協働して、取り組み、多くの患者から、最期の瞬間まで生ききる人の強さと優しさを、私は教えられた。
2000年、チームの中核的な存在になる介護支援専門員に大きな期待をもって、「介護保険制度」という国の制度を最前線で迎えた。しかし、思うような在宅移行は進まなかった。いや、後退したかもしれない。 地域で暮らす人が病気や障害等アクシデントと遭遇する病院でこそ、専門的な在宅療養移行のためのマネジメントが必要だと考え、2002年、出身校である大学病院へ戻り、2012年3月まで、退院調整看護師として取り組んだ。
急性期病院における「退院支援と退院調整」を分け、入院から退院までを「3段階」にシステム化して、患者の意思決定支援と、自立支援をキーワードにした看護師が主体的に取り組むことの重要性を訴えてきた。
2008年から「退院調整加算」として診療報酬評価が付き、その後は早期支援、地域との協働を評価する流れと発展している。

 2012年、大学病院を退職して、全国に教育、アドバイザー活動をするために独立起業した。医療機関・地域へ研修やアドバイザーで関わるときのポイントは、
(1)病院における入院早期からの「退院後の生活を見据えた退院支援・退院調整」を院内でチームとして取り組むこと(医療機関による格差あり)。効果的に、現場の業務負担を軽減させるための診療録・看護記録等の工夫、地域との早期の協働のあり方を、病院・地域の特性を生かして強化する。
(2)次に取り組むべき課題は、外来患者への「在宅療養支援」である。
外来患者は地域で暮らす人、病態予測・老いによる変化を予測し、患者の望む生活の場を変えない「地域居住の継続」ために、何が必要かをマネジメントする事を外来看護機能として位置付ける。ここには定期的な医師からの疾患レビューと抱き合わせで行う。
そして、高齢者が意思表示できるうちに「これからどう生きたいか、人生最終章をどこで送りたいか」といった思いの確認をする場面、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)として外来患者と向き合う時間を持つ。
(3)地域との協働については、地域包括支援センターやケアマネジャーとの連携も必要であるが、私は地域に拠点として活動する「地域の退院支援室、相談機能」が必要であると考えている。「在宅医療連携拠点事業」を訪問看護ステーションや地域の医療機関の退院調整看護師がリーダーシップをとり、地域をけん引する地域も増えているが、まだまだ拡大してない。東京都では「在宅療養支援窓口」として地域に位置づけ、「地域の在宅医療資源の把握」「福祉系ケアマネジャーへのアドバイザー、サポート」「医療・介護連携のための研修会・ツール作成」等の事業を実施し、市町村レベルでの在宅医療推進のための課題を明確にする活動にもなっている。
この3つのポイントを病院、地域の現状を把握・分析するところからサポート活動を全国で展開している。

 いずれは私も当事者、私だったら、私の大事な人だったら、どうしたいかな、どう思うかな、ともう一歩患者に近づいて、伴走する医療、看護が提供できる時、われわれ医療者も、大きな力を貰う。
今の私に大きな動機づけをした父ががんで亡くなった年齢まであと3年。望まれる仕事を丁寧に、現場のナース達と取り組んでいきたい。
ページの上へ