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コラム
 
マイナンバー制度、ストレスチェック義務化などに備えて
メディサイト 松村 眞吾

  医療経営を取り巻く動きが急加速されていっている。地域包括ケアシステム構築の取組みは各地で本格化し始めた。また地域医療構想の策定も始まっている。2025年に向けての制度改革は、まず診療報酬・介護報酬同時改定の2018年を節目にしていると考えたい。そういった医療制度改革とは別に始まるのがマイナンバー制度であり、ストレスチェック義務化である。これらも想像より複雑で頭を悩ます経営課題となりそうだ。

 マイナンバー制度は今年秋からのマイナンバー通知から始まる。最初は税と社会保険料の納付管理に使われるイメージであるが、国は医療情報を連動させて診療情報の共有化を図っていく方針だと言う。やはり2018年度からの導入を目指す。予防接種と特定健診における使用から始まるようであるが、何れにしても患者のマイナンバー管理が医療機関の業務として加わることとなる。1人のアルバイトを雇う場合も源泉徴収義務者としてマイナンバー管理が必要となるが、個人情報の塊であるマイナンバー管理は、厳格なものが求められるであろうと考えられ、かなりの業務負担が生じる可能性がある。

 ストレスチェック義務化は50人以上の事業場を対象とするもので、中小規模の事業場は義務化から外されるが、雇用者のメンタルヘルスマネジメントの体制が厳しく問われる時代となったということは知っておかなければならない。ストレスチェックを実施します、というだけでも職員にはプレッシャーがかかると言う。何のために行うのか、を周知徹底させなければ「リストラの道具に使われるかも」と思ってしまう職員も出てくるものらしい。なによりも職場のストレス低減を図るという姿勢が求められる。また産業医不足なども深刻な問題となりそうだ。

 マイナンバーもストレスチェックも感情の機微に関わってくる可能性が高い。一つ間違うと大きなトラブルに発展しかねない。リスクマネジメントの大きな対象となりそうである。果たして、その準備、また、それ以前の覚悟はできているだろうか。マイナンバー管理もストレスチェック実施とフォローの体制も外部委託する方が業務負担とリスク低減を図る上で有効だという意見もある。ただし例えばストレスチェック外部委託は職員に不安を巻き起こすかもしれない。マイナンバーは制度自体への漠たる不安感が一般にある。

 DPCやレセプト情報の塊であるNDB(ナショナルデータベース)など、データに基づく経営が盛んに言われるようになってきた。事務局の機能強化が必須となる。マイナンバー制度やストレスチェック義務化もコンプライアンス体制、リスクマネジメント体制の強化を迫るものであり、事務局の体制強化、機能強化が喫緊の課題となってくるだろう。ストレスチェック義務化対応は、正直なところ未だ弱い。看護部の方が敏感かもしれない。事務局の奮起が望まれるところだろう。

 形だけの対応で何とか格好は付くかもしれないが、マイナンバー制度やストレスチェック義務化はガバナンス、コンプライアンスその他の実質を問うてくるものとなるだろう。訴訟リスクの増大は間違いなくあると考えたい。もちろん、まずは正しい知識と理解を求めたいと考える。

 

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