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コラム
 
地域包括ケア「大阪のおばちゃん」モデルを考える
メディサイト 松村 眞吾

 地域包括ケアシステム構築が言われて久しいが、一部を除き、特に住民参加に成果を上げている事例は多いとは言えない状況だと思う。「地域包括ケア」という言葉自体が知られていないし、行政や医療福祉関係者が一生懸命になっても、なかなか反応は乏しいと、あちこちで聞く。なぜなのだろうか。

 そもそも地域包括ケア「システム」という言葉に抵抗感がある。地域のケアを支えるというのは、行政と多職種、住民の協働と連携が欠かせないが、今あるのは行政と専門職の情報共有の仕組みづくりの試みでしかない場合が多い。必要なのは「システム」ではなく「ネットワーク」なのではないか。そういう視点を先ず持たなければならない。ネットワークを考える時、「我がごと丸ごと」という言葉に気を付けたいと思う。最近、よく言われるようになったスローガン的な言葉であるが、これはムラ社会を思い出させてしまう。息苦しいムラ社会をつくれということなのだろうか。それではCommunity-Based-Careにはならない。それは現代日本人の気持ちに反することになる。

 人々は何を望んでいるか。「ケアしてあげる」という上から目線での支援であろうか。「ほっといてくれ」という人に無理やり「ケア」することが善なのか。そうではない。ネットワークもガチガチに組まれるものであってはならないと思う。そこで「大阪のおばちゃん」が登場する。

 「大阪のおばちゃん」はお節介であるが、しつこくない。「ほどほどにお節介」かつ「ほどほどに放置」する存在である。ネットワークは緩い。緩さがポイントとなる。真面目に考え過ぎる行政や医療福祉専門職では思いもつかない関係性が、それこそがネットワークには必要なものである。

 岡檀氏は、日本一自殺率の低い町の研究を「生き心地の良い町」という本にまとめられた。同書の内容に共感することは多い。「ほどほどお節介、ほどほど放置」を考えていきたいと思っている。

 
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