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コラム
 
2020年診療報酬改定はどうなるのか?
メディサイト 松村 眞吾

 国が、公立・公的424病院の統合・再編を名指しで促したとして、大きな議論となった。地域医療構想が目的とする病床再編成が、なかなか進まないことに痺れを切らした結果かとも言われている。ただ、病床機能別に稼働率などの数字を機械的に問題化させ、個別の地域、病院の事情を勘案していないと反論も相次いだ。急性期病床が過剰になっていく、回復期病床などが足りない、といった状況を踏まえると、国の姿勢を一概に批判するだけにはいかない現状がある。それも実際だと言える。超高齢化は急性期から回復期、慢性期、在宅へと受診・療養ニーズを変えていく。人口減少が進む地方だけではない。大阪など大都市部でも急性期の過剰が表面化しつつある。首都圏でも、例えば横浜市は、高度急性期は充足されているが、回復期以降の医療資源が絶対的に足りないという現実がある。病床数と医療費は相関するというデータはある。急性期病床を減らせ、と国は本気になっている。

 そして2020年診療報酬改定が近付いてきた。前回改定時、国はいわゆる2025年問題に対する備えはできたと言った。団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年問題対策を言い始めている。したがって、次回2020年改定に激変はないということになるのだろう。ただし、急性期を取り巻く課題などは別として、である。

 確実に考えられるのは、急性期の厳格化である。重症度、医療・看護必要度の要件が見直される可能性が高い。前回改定で、急性期入院料はストラクチャー評価からアウトカム評価に転換されたが、いよいよそれが本格化する。そのメッセージはしっかりと受け取りたい。

 ポストアキュート、サブアキュート、在宅など地域医療支援を担うべき地域包括ケア病棟の関係も見直されるだろう。急性期の在院日数短縮の道具として地域包括ケア病棟を利用するといった同一法人内ポストアキュートは規制されていく。診療所とともにかかりつけ医機能を期待されている中小病院でのサブアキュート機能が重視されることになるだろう。具体的には地域包括ケア病棟1と3に注目したい。

 在宅医療などは概ねの整理が終わっているということらしい。疑問は残るし、何が起こるかは分からないが、注目点は、むしろ生活習慣病の重症化予防にあると見たい。2018年12月に成立した循環器病対策基本法のこともある。中小病院が担い手となるのだろうか。よく考えておかなければならないのが「働き方改革」の関連である。医師の、いわゆるタスクシフトなどの評価が議論される。看護師など他の医療職についても動きがあるだろう。

 などなど、いろいろ予想してみても、中医協の議論で内容は変わっていく。ただし基本的な流れは前回、前々回の改定のものを受け継ぐはずであり、採るべき戦略は自ずから決まって来る。重要なのは、ステークホルダーとして「地域」を考えなければならないということである。診療側VS支払い側という構図だけで考えるのは、ひと昔前の経営者である。

 
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