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コラム
 
コロナ(COVID-19)第三波が到来して
メディサイト 松村 眞吾

 コロナ第三波は年末から年明けにかけて一挙に拡大し、医療ひっ迫、崩壊の危機が叫ばれるようになった。一方で、緊急事態宣言が出されたものの各地の人出減少は限定的で「コロナ慣れ」とも言うべき状況が生まれている。経済を回さなければ生活苦から自殺する人も増えるとの意見もある。実際、自殺は増えている。東京だけで1日2,000人の新規陽性者は、確かに衝撃的であり、ハイリスクの高齢者らは巣ごもり生活に戻っているかのようにも思われる。感染拡大、そして重症者、死亡者の増加といった報道の一方で、普段と変わらない生活を続ける多くの人々の存在、という相反する光景が見られている状況である。

 医療ひっ迫に関しては、民間病院がコロナを引き受けない、だから問題となる、という議論がある。病床数は足りているのに民間病院が医療機関としての責任を果たしていない、という批判的議論である。コロナ以外の患者を引き受けている、などといった真っ向からの反論もある。ここは事実(ファクト)を見ていきたい。公立病院などの病床を空ける策として円滑な転院という手がある。治療が終わったら回復期などに移るということだが、実はここが弱い。民間病院は「急性期」を名乗ってきた。足りないのは回復期であり療養期である。またコロナ治療が進んできてノウハウができつつあるということもある。地域の病院協会が中心となっても良い。民間病院で引き受けられることは何かを考え、実行していけないか。

 コロナ関連死の半分はコロナ合併症であり、コロナが直接の死因ではない。死亡者年齢の中央値は、ほぼ日本人平均寿命に等しい。2020年の年間死亡者数は前年のそれを大きく下回った。これらも事実である。多くの、特に若年層のリスクは著しく低い。だからと言って「単なる風邪」と決めつける意見には同調できない。病状の重さ、基礎疾患ありの高齢者におけるリスクを考えると、感染拡大防止の重要性は変わらない。ただ、マスコミやネットで過度に恐怖を煽られたことも事実であり、それがコロナ感染者に対する誹謗中傷、排除の風潮につながっている。それがストレスとなり、多くのコロナ患者、関係者にとって精神をやられる一因ともなっている。感染拡大防止か経済か、ではなく精神の崩壊を食い止めなければならない。認知症の悪化も進んでいる。

 お分かりだろうか。医療経営の面から言えば、マネジメントが圧倒的に足りない。自院の機能明確化をあやふやにしてきたツケ、退院後の患者フォロー、介護関係との連携不足があり、職員のストレスマネジメントなど考えない、気付かない経営者が、残念ながら存在する。優れた感染制御専門家から成る医療安全チームがあっても職員休憩室が密であればクラスターは発生する。

 人のマネジメント、他院との連携などに、今からでも注力したい。診療報酬対応以前に基礎的なマネジメントができていなければ経営は成り立つのか?試金石の一つは今春の介護報酬改定になると思う。介護事業を併営している医療機関も多いはずだ。人手不足、コロナ、介護報酬改定(今回は科学的介護を意図)などマネジメントの強化なくして事業を継続していけるのか。正念場を迎えると考える。 

     

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