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コラム
 
 診療報酬・介護報酬の改定に思うこと   
   メディサイト 松村眞吾

 今年は診療報酬と介護報酬改定が重なる年である。しかもその内容は医療・介護の世界に大きな変革を促すものとなった。基本的にはマイナス改定である。日本医師会や介護業界の反発も強い。診療報酬に関して言えば、例えばコンタクト処方の大幅な下げは、一部の眼科クリニックを閉院に追い込むものだという声も強い。介護報酬では、軽度者に対する訪問介護などの報酬が大きな影響を受ける。軽度者に依存してきた介護事業者には大きな打撃だ。ただ単にマイナス改定を批判したり、嘆いてみても始まらない。どのように対応していくか、自分たちが置かれた環境と国の施策の方向性を見極めながら対応していかなければならないと思う。

 療養型病床の大幅削減が話題になっている。施設から在宅へ、は医療・介護の両面で大きな流れとなっている。少子高齢社会の到来は、医療費の増加と施設介護の限界を私たちに突き付ける。もちろん公共工事を削って医療費、介護費用にという主張はあるわけだし、国や地方の予算も公共事業を削って社会保障を増やす傾向にある。財政悪化を阻止する、というのが国の考えだと断言できよう。しかし見落としてはならないのは「家」で老後を過ごしたいという高齢者の方々の強い希望である。家で療養するという自然の姿に近づいていこうという努力を支援するのが今回改定の今ひとつの主要テーマである。

 介護保険はより踏み込んだ形で「在宅」を支援する方向性が打ち出されている。デイサービスにおける末期がんや難病患者への「療養通所介護」など医療連携に対する評価が目立つ。今まで医療・介護連携サービスを赤字で提供してきた事業者にとっては追い風と言える改定内容である。診療報酬においても「在宅療養支援診療所」の創設が話題となっている。ビル診で、決められた時間だけの「気楽」な外来診療だけでは許されなくなる世の中になっていくのか? 稼ぎたかったら苦労しなさい、ということなのだろうか。

 「在宅療養支援診療所」にも24時間対応体制を採りなさいという厳しい条件が付いているが、連携を上手に活用すれば心配するほどの負担増加にならずに算定できる可能性が高いと私は見ている。今まで医療と介護は近くて遠い関係にあった。介護側からのラブコールに医療側は応えず、介護側の受入れ体制は医療側に不安を抱かしていた。医師ら医療関係者の物理的負担は確かに少し重くなる。しかしケアマネージャや訪問看護師らとチームを組んで取り組んでいけば、必ず報われると思うのはお人好しの考えだろうか。
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