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コラム
 
 医療・介護施設のM&A        
  税理士 岩井 小夜 氏
 最近、堀江さんや村上さんのおかげ?で「M&A」という言葉が広く一般的になった。医療業界においてもここ数年でM&Aは急増しているといわれている。

 医療業界全体では
(1) 医薬品卸の統合
(2) ドラッグストアの寡占化
(3) 医薬品メーカーの集約化
という流れを受けて、医療・介護施設の現場でもM&Aによる統合が進むと見られている。

 その背景としては
(1) 診療報酬のマイナス改定
(2) 看護師等の深刻な人手不足
(3) 療養病床の大幅削減
(4) 医療法改正による医療法人の非営利性の徹底
などがあげられる。
 
 医療法人の理事長等から相談される事例としても、後継者問題はかなり頻度が高いものである。受験勉強に苦労してせっかく子供が医師になっても、
(1) 自分の研究に従事したい。
(2) 経営を任せて医療に専念したい(勤務医の方が気楽でよい)
(3) 独自に診療所を開業しているので戻ってこない
などの理由で、必ずしも後継者を確保したことにはならない。

 また病院経営の先行き不安から、子供に継がせたくないというケースも出てきている。親としては子供のライフプランを尊重してあげたいという考えもあるだろう。
 
 事業経営の出口は(1)株式公開 (2)親族などへの承継 (3)廃業 (4)M&Aによる第三者への譲渡に限られる。このうち(1)の株式公開は医療法人では不可能であり(2)〜(4)のいずれかの方法によることになる。(2)の困難さは上記のとおりであるが、(3)の廃業も従業員の雇用の継続や地域住民への影響を考えるとデメリットが大きく、税務面でも不利になることが多い。
 
 19年4月以後医療法が改正になり旧来の「持分あり社団医療法人」が新設できないとなると、旧来の医療法人に何らかの価値が出てくる可能性もある。

 昔のように、何が何でも家業を継ぐという発想を押し付けるのは親も子も悲劇である。事業として成功するには好きなこと、得意なこと、やったことがあることの3つが揃ってやっとそこそこうまくいくといわれている。業績が悪化し身売りなどとならない前に、よい相手(売却先)を探し、法人としての継続の道を選ぶことがこれからの経営戦略のひとつとなるのではないだろうか。
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