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コラム
 
 起業して4年、クリニック事務長を1年   
   メディサイト 松村眞吾

 この世界に入り込んで年月が流れた。見えてきたことがいろいろとある。医療界の「常識」と世間の「常識」、データのマジック、現場の実態などなど。幾つかのことを徒然に書いてみたい。

 外からの視点がますます大切だと思う。世の中は劇的に変わっていっている。ITの衝撃は軽視できない。コミュニケーションの形がどれだけ変化してきているか。情報を共有する、そして説明と納得。コミュニケーションは垂直型から水平型に変わった。求められるのは共有された情報をキチンと説明、料理できるプロフェッショナルとしての腕前である。情報を知っているだけでは半人前だ。一般世間に比べれば、まだまだ心地よい医療界の人間もこれを知らなければならない。

 データについて感じることがある。例えば、よく引用される医療費30兆円、パチンコ業界とほぼ同規模という数字は、もう何年も前の数字であるし、公立病院への一般財政からの投入金も含まれていない数字である。医療経済の論文で出てくる計算式は、私ら凡人には理解し切れない。ただ、時として我田引水的なデータ引用が多いな、と思う。エビデンスを徹底的に求める姿勢を守っていきたいと思う。装いとしてではなく、事実としての論理を大事にしたい。

 コンサルタント(税理士なども含めて)の理解と現場の実態は異なる。よく考えると当たり前の話だ。会計帳簿から経営を見る、御用聞きの感覚で聞いて回った情報で判断する、行政筋からの情報で将来を判断するなど、それぞれの視点に立って医療の世界を見ている分には大きな間違いはない。しかし、コンサルタントに受付事務スタッフの呟きは届かない。在宅を語るに、訪問診療の現場を見たこともないコンサルタントもいるだろう。現場の論理に流されたくないが、現場のリスクは、それをテークする人間にしか分からないことがある。

 金融の世界の人々に講演して、医療のことを論じ合ったことがある。医療機関の適正評価(デューデリジェンスという)に人的資源、つまりスタッフの動機付けの仕組みの見極めが欠かせないという私の指摘は、彼らには驚きだったようだ。何年も医療界に関わってきた銀行の担当にして、である。

 分かったようなことを書いているが、実はまだまだ道は遠い。しっかりと研鑽に励みたいと思う。
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