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 レセプトデータに宝が埋もれているかも
メディサイト 松村 眞吾

  診療報酬改定への対応が一段落した頃、ある院長が放った言葉にがく然とした。「次の改定がある2年後まで収益のことは考える必要はないね」。その院長は診療報酬にどう対応するか、各項目への逐一対応だけが問題・課題と信じているようだ。厚生労働省の医療課長が「今回の改定でのメッセージを読み取って欲しい」と発言している。既に次回改定、いや2025年に向けての対応を考える時期にあるのである。次回改定時期まで考えないでいるというのは、加算などの「はしご」が外された場合の打撃を考えないということである。

 従来の医事の考え方は「算定漏れをなくせ」ということであった。今は医事だけでなく病院全体で、あるべき体制のことを考え、手を打っていかなければならない。チーム医療の時代だとコメディカルを多く採用していた病院は、早期リハビリ対応などで増収をいち早く手にした。あるべき医療提供のことを考えることが報酬改定を先取りすることになる。

 DPCデータの分析がポジション確認、戦略構築に有効である、と最近さかんに議論される。DPC参加病院でなくても手掛かりはある。一つは競合病院がどういう体制を届けているかを厚生局HPなどでチェックすること。自院の強みと弱みを整理して機会を活かし脅威を回避するのに役に立つ。いわゆるSWOT分析の一環である。今一つが自院のレセプトデータの分析である。算定漏れをやかましく言う割には丁寧な分析が抜けている場合が多い。木を見て森を見てないからである。

 看護体制の関係で看護部が気付いて医事課に算定を提案する場合もある。救急などで意外と届け出が抜けていたりすることもある。何よりもレセプトからは自院の強み弱みが発見できる。強みを活かすことで算定できる項目もあり、算定を目指すべき項目もある。診療体制の方向性も変わって来るかも知れない。病名チェックと算定漏れチェックで終始しているのはあまりにももったいない。

 井原西鶴は「倹約十両、儲け百両、見切り千両」と言った。多くの病医院でやっているのは「倹約十両」の世界ではないだろうか。収益向上にはレセプトデータの分析で「儲け」と場合によっては「見切り」を考えるべきであろう。

実は「無欲万両」と続く。医療サービスを提供するに当たっては、もっとも心すべきことであるとは言うまでもない。 

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