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コラム
 
 部下のヤル気を高めるJustice
桃山学院教育大学 教授
栗岡 住子 氏
Justiceとヤル気
 ハーバード大学で最も人気のあるサンデル教授の授業のテーマ「Justice」は、公正という意味でメンタルヘルスとの関係について研究されています。具体的には、職員が「自分は(上司や経営陣に)公正に扱われている」(公正知覚)を認識することによって、組織に対するコミットメント(帰属意識)や職務満足度、ヤル気を高めることがわかっています。逆に「公正に扱われていない」と認知すると、職員同士がお互いを尊重しなくなり、職員間での人間関係が悪くなり、離職者が増えたり生産性が低下することが指摘されています。

Justiceとマネジメント
 病院などの組織が、公正なルールを作ったとしても、職員自身が「公正に扱われていない」と感じることがあります。これは経営陣や管理職のマネジメントが影響しています。特に職場の意思決定や、ふだんの上司の部下に対する公正な態度が重要です。
 職場で意思決定をする際に、社員に発言の場を与えていない場合、その後、社員がうつ病や心臓病、長期の疾病休業を起こしやすいことや、逆に、適切に発言の場を与えることで、活気ある職場づくりに役立つことがわかっています。また、上司から部下に対する公正な態度、つまり尊敬・尊重の念を持って部下に接しているか、適切なタイミングで情報提供しているか等の公正な態度が部下の健康に影響することもわかっています。

具体的なマネジメント
 部下に公正知覚を認識してもらうため、上司として留意して頂きたい具体的な配慮をご紹介します。

「職場の意思決定の公正さ」についてのマネジメント例
1. 正確な情報に基づき意思決定する
2. 部下が意見を述べたり、異議を申し立てる機会を与える
3. 仕事に関係する全ての職員を、意思決定に参加させる
4. 意思決定は一貫した考えに基づき行う(例:職員規則、組織の理念など)
5. 意思決定について、部下が説明や追加情報を要求しやすい状況をつくる

「部下に対する公正な態度」についてのマネジメント例
1. 部下の考え方を考慮する
2. 独りよがりなものの見方をしないようにする
3. 部下の意思決定の参考になるよう、タイミングよく情報を提供する
4. 部下に対して親切心や思いやりをもって接する
5. 部下に誠実な態度で対応する

 職員一人一人が公正知覚を持ち、それが職場内で共有され働きやすい職場になることが職員満足度、ひいては患者満足度につながることになるでしょう。

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