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コラム
 
療養病床に在宅復帰率とは?
メディサイト 松村 眞吾
 現在、療養病床では「在宅復帰率」が要求されるようになった。長期入院が当たり前で在宅復帰には縁のないような高齢患者が多い、そういった療養病院で、それが可能なのか、どういった意味があるというのだろうか。「無理です」という現場の意見もある。診療報酬上の評価の詳細は省くが、「在宅復帰率」というだけで拒絶反応を示す現場も確かにある。

 実際のところは、計算式があって、それに応じてシミュレーションすれば少しの努力でも基準は満たすことができるから、在宅復帰の加算を算定すべく努力すべし、というのがコンサルタントなどの助言となる。確かにそうなのである。

 診療報酬のために在宅復帰を進めるのか。国の政策としては診療報酬による誘導となる。報酬算定のために行なうというだけでは、経営学的には100点満点で50点と合格スレスレの水準だと考える。慢性期医療の目的とは何か、慢性期医療の現場での経営課題は何か、をよく考えたい。慢性期医療での価値提供とは何か、を考えなければならない。

 慢性期の療養において価値のかなりの部分はQOL(生活の質)向上にあると言って良いだろう。入院生活でQOLを上げることは難しい。自宅でなくても良いが、生活の場であってこそのものである。長期入院が慢性期病院の空気を淀んだものにしていることは確かである。そして最大の経営課題がここにある。職員のモラールをいかに上げていくか、である。慢性期病院で職員がイキイキと働いているところは、正直なところ多いと言えるだろうか。入院している高齢者にとっても、そこで働く職員にとっても現場の空気を変えること、空気を入れ替えることが重要課題ではないだろうか。

 データを活かすことが、現代経営のポイントとなる。しかし現場の空気を考え、需要側(経営者及び職員)と需要側(入院患者)の両者の価値創造を基本として考えなければならない。知り合いの療養病院院長も同感してくれた。在宅復帰して1ヶ月で戻ってくることもあるだろう。それでも空気を入れ換えることは高齢患者の方にとっても職員にとっても価値創造になる。そういう発想が必要だと考える。

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